約 1,709,653 件
https://w.atwiki.jp/quizmagicianblackcat/pages/3322.html
ウィズ連合 クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズについて集まって話し合います。 スレッドを立てたいときはスレッド一覧から立ててください - 名無しさん 2013-12-19 12 41 41 建てました - motoori 2013-12-19 16 01 19 2014/1/9 サービス大規模メンテナンスについて いつもご利用いただきありがとうございます。 誠に勝手ではございますが、下記の日時で大規模なメンテナンスを実施いたします。 日時: 2014/1/18(土)午後2時から 2014/1/19(日)午後10時過ぎまで 期間中はサービスをご利用いただくことができません。 この度はご不便をおかけし申し訳ございませんが、 ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。 ※状況により、メンテナンスを延期させていただく場合がございます。 http //desk.atfreaks.com/tickets/form/atwiki/ http //archive.is/nmHTd - motoori 2014-01-12 23 55 31 本日、招待コードスレにあった一日(0 00~23 59)に二回以上の投稿を削除しました。 - motoori 2014-01-25 01 30 18 51経由 - motoori 2014-01-25 01 30 53 第一回精霊人気投票結果 http //www51.atwiki.jp/quizmagicianblackcat/pages/4290.html - motoori 2014-03-09 17 24 04 www51.atwiki.jp/quizmagicianblackcat/の準管理人、ログインユーザーは元に戻れないのかな…… - motoori 2014-03-13 17 17 50 名前
https://w.atwiki.jp/kuroneko_2ch/pages/416.html
保管庫の画像について 名前 コメント すべてのコメントを見る これあやしいかも?というものについては、今後は「削除依頼」の方に出しておいてください。 -- (管理人) 2011-05-21 11 14 03 よし来たっ!サクサク消していきまする。サンキューです。 -- (管理人) 2011-05-19 00 51 54 「41スレ目450 丸顔……?」は製品画像じゃないかな? -- (名無しさん) 2011-05-19 00 48 13 4スレ目360は同じ名前の同人誌が出てる。けど、発売日がcomic1☆5(先月末)なのでスレの時期考えると一次投稿の可能性もあり。。。申し訳ないけど管理人さんに判断ゆだねたい -- (名無しさん) 2011-05-19 00 46 50 本スレに書いたけど、4スレ目147はデジラバ2010年11月07日分の転載(投稿日が11/08だから本人ではないと思う) -- (名無しさん) 2011-05-19 00 43 42 どもです!消しましたー -- (管理人) 2011-05-19 00 40 00 ちなみに、10スレ183,29スレ833,41スレ476の右の画像、はレス内容からも、同人誌の画像スキャンが確実(つか、一冊は実際持ってる同人誌だし)なので、この三件は早めに消す事をおすすめします。他の画像の多くは多分pixivからの転載がメインで、お金が直接は絡まないので、転載許可を願うなりすれば大丈夫な気もします。 -- (名無しさん) 2011-05-19 00 28 25 なるほどー、ありがとうございます。 …ひとまずは今のまま、今後投下された画像については桐乃スレを参考にってところかなぁと。 で、何か言われた画像については即削除する方向ってところでしょうか。 ひとまず掲載基準を書くところからですかね。ありがとうございます。 -- (管理人) 2011-05-19 00 10 11 桐乃スレ画像ギャラリーの掲載基準は、基準の一助になるかと思います。具体的には、「スレに最初に直接投下された、自作絵のみ」といった感じです。写真は基本不可にしています。(転載の特定が難しいので) -- (名無しさん) 2011-05-18 23 57 35 あー、ぶつ切りに投稿したど2~7まで一人の投稿なので -- (名無しさん) 2011-05-18 23 43 47
https://w.atwiki.jp/touhourowa/pages/158.html
黒猫の行方 ◆BmrsvDTOHo ――それでは、御機嫌よう」 比那名居天子の心は喜びで満ち溢れていた。 一つ、早朝自らと同じ不老不死の境遇である少女、藤原妹紅とまみえた事。 自ら死を望み永遠の生を疎ましく思う。 “与えられた”天人には到底理解出来ぬであろうその望みに天子は非常に感興をそそられた。 やろうと思えばいつでも射殺せたであろう、隙など幾らでもあった。 しかし天子は賭けて見ることにしたのだ、その未成熟な人の子の可能性に。 不死である以上、生死に関わる勝負も多く、また修羅場を潜って来た数もそれなりだろう。 恐らく何らかの能力制限は掛かっているだろうが、それでも容易に死なないであろうことは明らかだ。 先刻、激昂に滾る妹紅の気も感じた、案外直ぐにこの願いは叶うかもしれない、と思うと天子は顔を綻ばさずにはいられなかった。 一つ、先程の主催者…八意永琳の読み上げる死亡者リストに八雲紫とその式の名前がなかった事。 あの胡散臭いチャランポランが易々死ぬとは思ってはいなかったがこの状況、万一ということもある。 自分の能力を過信しすぎたあまり……などという事なら話にもならないが。 天人に対し膝を地につかせ、博麗神社の式年遷宮の際の介入、更に起工記念祭、もとい私を虐める祭に自らは来ない……。 天子は完全に紫に対し復讐する機会を逃していた、日々あの汚辱を思い出しては鬱憤が溜まる日々。 だからこそ、この殺し合いが宣言された時内心随喜していた。 手強い相手と戦い楽しむのも確かにこの“お遊戯”の目的だ。 しかしまずは八雲紫を自らの手で倒し心を凪ぐ、それでなければ優勝しても永遠にこの鬱憤が晴らされる機会は失われる。 定時放送で知り得た情報は天子に対し良い影響ばかりを与える物ばかりである。 死亡者の中に見知った竜宮の使い、永江衣玖の名前が読み上げられた時、他者に対し一切の遠慮がない天子の心が揺れ動いた。 が、それもそこまで。哀悼の意や弔辞を述べようとすら考えない。 呆れるほどまでの唯我独尊、厚顔無恥、それが天子の原動力であり、又大きな強みでもあった。 中には花の妖怪や鬼の名前まであった、あれ程の実力者までも殺られているとは。 また楽しみが一つ減ってしまいましたわ、とクスクスと笑う。 この異常な空間に漂う死と血の匂いは天子の日々の欲望と鬱憤を限りなく0に近いレベルまで解消していた。 森も、川も、里も、花も、大地も、全てに潜む悪意が増幅され牙を剥き。 気を抜けば一瞬で食い殺されるような緊張感。 天界でも、先に起こした異変でも決して味わえなかった感触、本物の殺し合い。 死神相手とは質も量も格段に違う、あんなものは児戯に等しくさえ感じさせてくれる。 今の私は手加減する必要がない、なぜなら殺してしまっても非はないから。 自らに枷を科す事なく、全身全霊をかけて戦える快感。 これも又、久しく味わっていないモノだった。 先の異変でも、全力を出していては勢い余って何人も殺してしまっていた事だろう。 そうなれば幻想郷中の敵意がこちらに向けられることは必至。 まあそれもよかったかもしれませんけどね。 だが一瞬でお楽しみが終わってしまうのもつまらない、私はデザートは後に取っておくのです。 次の放送までにいったい私は何人の猛者と会えるだろうか。 先程の式の式など話にならない、反撃さえ仕掛けて来ない者など狩猟対象の動物と同じ、動く的だ。 最もあの式は動いてさえいなかったが、と天子は思い出し含み笑いする。 まあ八雲の式を激情に駆り立てるくらいには使えるだろう、この首は。 目の前に投げてやりでもすれば恐らく憤怒の形相でこちらに飛び掛ってくる事だろう。 息をつく間もない殺し合い、式の式とは違いこちらは私を落胆させる戦いにはならないだろう。 そして八雲紫と遭遇した時に、二人分の式の首を同じように投げてやる。 いつもいつも澄ました顔をして賢者を気取っているあいつも、これには何かしらの反応を見せるでしょう。 それでこそ私の本懐は達成される、天人への数々の無礼、数多の汚辱をたっぷりとお返ししてあげましょう。 朝は更けていく。 太陽の光だけは変わらない様で、夜が必死に隠し通してきた血生臭い戦場を明瞭に曝し出す。 凄惨な殺戮の会場となっている此の地には朝日眩しい朝が来ようと安息の時は訪れない。 止まってばかりもいられない、可能な限り早く八雲紫に会い倒してしまいたい。 鬱憤を晴らしてからの方が他の猛者達との戦いも死力を尽くせるいうものだ。 かと言ってあいつの居る場所に当てがあるわけではない。 何処に居るかは神のみぞが知るといった所だろうか。 結局、目標と成るものは行方知れず。 当ても無く、日照りの強くなり始めた道を唯歩き続けるしかなかった。 ―――――――――――― 幼い吸血鬼の住む館、紅魔館の正面に位置する湖。 何時もは太陽の眩い日差しを受け照り輝き、深く透き通った湖水は無慈悲に冷たさを印象付ける碧瑠璃色をしており。 沈むモノ全てをその巨大な口で飲み込み、どんな者にでも二度とは戻ってこないと一瞬で理解させるだけの威圧感を備えている。 湖水は二人分の血を吸い、死の匂いを色濃く帯びている。 繚乱と咲き乱れる花々は気味の悪い程の笑顔を訪れる者全てに投げかけ。 騒ぎ立つ湖面は次の犠牲者を今か今かと急かし立てるように波紋を立てる。 花々の香りや湖水のさざめく音は魅力的な香水の様に周囲に散布され続ける。 その内部に無念と血生臭い鉄の匂いを孕んでいるとも知らずに。 そこに自身も亡者の様に亡骸を求め彷徨う燐が吸い寄せられるのは至極当然の事であった。 燐は里を抜け引き寄せられるように湖に向かっていた。 奇妙な話だが方向性の一致とでも言うのだろうか。 視界の確保が多少困難になる朝霧の中、燐はリヤカーを引き、当てもなく歩いていた。 片目は欠損しており濃霧の中を歩く姿は傍から見ればまさに歩く亡者だろう。 「やっぱりなんだかいごこちが良いんだよねぇ~、ここは」 リヤカーには既に燐のコレクションの一部と化した二人分の死体が載っている。 片方は燐が仕留めたモノ。確か白狼天狗という種族であったと記憶している。 残念ながら手持ちに良い獲物がなかったため全身に破片手榴弾の鉄片が深々と刺さり 大小数多くの刺傷を皮膚を切り裂き作り出し溢れ出る血で血達磨となってしまっており。 更に爆発の衝撃であちこちが抉れる様に吹き飛んでしまい、あまり良い状態とはならなかった。 もう一方の死体は湖よりサルベージしたモノ、何者かにより喉を一突きにされており失血死であろう。 体には目立った外傷がなく水中にあったが発見も早かったため至って保存状態は良好。 種族はあたいには解らないが身形は整っており、顔立ちは流麗、スタイルも抜群と来ている。 この世への悔恨も深い、中々お目にかかれない逸品となりそうな死体だ。 そういえば一つ気にかかることといえば。 「あたいのねこぐるまは一体どこにあるのかねぇ……。」 やはり急場調達のリヤカーよりも使い慣れた猫車の方が移動も積載も楽だ。 しかしこの雄大な会場内から探し出すとなると……。そもそも支給品に入っているのかさえ怪しいもの。 リヤカーは及第点であろう、と自身を納得させる。 そういえば破片手榴弾は全て使い切ってしまった、今手元にあるのは天狗のお姉さんが持っていた首輪探知機。 死体候補を探し出してくれるみたいだけど、あたいの手で仕留めるのが一番手っ取り早い。 お二方の持っていたスキマ袋をゴソゴソと探ってみると、使えそうなモノが数点出てきた。 竹を薄く裂き表面を赤漆塗りで仕上げた三つのつづら。 正面には不釣合いな鉄製の錠前が付けられているが、鍵穴に当たるものは見当たらない。 円形に青白く光る灯が妖しく輝いている。 上部には和紙が貼り付けられており力強い筆遣いで逃、闘、東の三文字が書かれている。 逃のつづらは既に開けられている、中を覗くが緩衝材の他に物が入っていた形跡が見られる。 成るほど、ここに首輪探知機が入っていたわけだね、窪みの大きさもだいたいあってるし。 と、つづらの下敷きになる形で紙が挟まっているのを見つけた。 一度読んだのだろう、すでに封は開けられておりしわが出来ている。 それらつづらが宿す子は、帯に短し襷に長し。 一つは直に産まれます、あなたの道を選びなさい。 二つ欲しけりゃ殺しなさい、魂が乳となるでしょう。 三つ欲しけりゃ待ちなさい、時が母となるでしょう。 血が父となるでしょう。 それでも産子は未成熟。 ……いったい何のことやら。 さて、残っているつづらは闘と東、あたいに今直ぐ必要なのは闘う力だ。 迷わずに闘のつづらに手をかける、サイズ的には腕が一回りさせれば抱きかかえられるくらいだろうか。 重さを確かめようと持ち上げようとする、がそれなりの力を入れなければならなかった。 足に落としでもすれば骨折、そうでなくとも歩行は困難を極めるだろう。 そうなればこの戦いでは死んだも同然、生きる屍。 カチッという錠前が外れる音と共に蓋はすんなりと開く。 中には武器と言うよりも儀礼用の道具、といった感じの刃物が入っていた。 黒曜石のような鋭さに、白く輝く刀身。 手に持ち幾度か振るってみる、間合いのみを考えると優か不で言えば不に入るだろう。 重量は見た目に反する形でさほど重くはなく、投擲にも使えそうだ。 刃は厚く弧を描いており、まるで夜空に輝く弦月の様な光を発している。 同封されていた収納用であろう皮製のケースを両足につける形にして その二枚の刃を自分の身と一体化させる。 二段構造となっており上部は取り外せるようになっていた。 何だろうかこれは、巨大な黄銅色の鉄球とでもいえばいいだろうか。 持ち手としては鎖が付けられている、酷い作りだ……。 こちらは持つとずっしりとした重さを感じる。 使い道としては……振り回して的の頭にでも当てればいいだろう。 十分な勢いさえあれば例え体に当たろうと骨の数本は持っていける。 決定打と成り得る武器だが非常に使いどころが難しい事は確かだ。 ふと東のつづらに目をやると、先程まで青白かった光が紅く色を変えている。 手をかけ数度力を入れてみるが、うんともすんとも言わない。 どうやら今開封する事は不可能のようだ、それまでこれはお預け、という事だろう。 三つ目の文章が何を指すのかは今のところ分からないが……。 これで全部かね、と燐が探索を終えようとすると奥の方に大きな何かを見つけた。 瓢箪だろうか、紺の色に持ち手と思しき鎖、中には液体が入っているのか軽く振るたびにチャポチャポと音が立つ。 栓を抜いて匂いを嗅いで見る、酒だろう。 あたいは特に飲むつもりもないが必需品な者もいるだろう。 とりあえず大した大きさでもないので腰にぶら下げておく。 それともう一つ、ちょうど手の平くらいの小さな小箱にスイッチが一つ、とりあえず押してみる、迷ったら即行動。 ……特に変化はない、一体なんだってこんなものが……。 再びスキマ袋にしまいその口を閉じる。 結果武器になりそうな物は大きく分けて二つ。 うん、これだけ良質の物があればある程度の人妖はあたい好みの死体になってもらう事が出来るだろう。 更にどうやら今、参加者各々固有の能力をある程度落とされているらしい。 どんなに相手が強かろうと関係ない、こんなチャンスはもう二度と来ないだろう。 もう手を出さずにはいられない。 そう、あたいはくるっているんだ。 あの兎が言っていたじゃないか、私のあかいめはみたものをくるわせるって。 あんなにながい時かんいっしょにかいわして目をあわせていたんだ ならばわたしはもうとっくにくるっているくるっているんだろう狂っていてもしかたない苦るっているはずだくるっているべきだ。 今日というヒに脅や恐に怯して享するよりも 饗に恭し凶なる叫を享し狂に興するほうがいいんだ。 なんてかんたんな事だったんだろう、こんなかんたんなことにきづかなかったなんて。 凶という悲はなんてすばらしいひなんでしょう、おいわいをしなくちゃ 狂はわたしのたんじょうび。愁しいうれしいたんじょうび。 ろうそくいっぽんしたいにたててひとりっきりのたんじょうかい。 あらたなじぶんの嘆じょうび。あかいおめめのじごくねこ。 すてきなおめめのじごくねこ。うさぎとおそろいあかおめめ。 おれいをあげましょうさぎさん。とびきりごくじょうぷれぜんと。 おめめとおなじでまっかっか。あかいどれすをあげましょう。 あかいぼうしにあかいくつ。おめめとおそろいうれしいね。 よろこびなさいなうさぎさん。うれしいはずでしょうさぎさん。 うさぎはなんにもこたえない。ねこさんおこってまっかっか。 おにげなさいなうさぎさん。 わきめもふらずににげなさい。 はこのなかのねこさんは。どくをもくらいはこくらい しまいにゃあるじもくらうのだ。 「さてと、死たいこうほをさがすとしますか~したいあつめしたい」 うわ言の様に呟き続ける言葉。 燐の頭ではこの時、既に地霊殿の主や親友の事は頭の片隅に追いやられていた。 否、無意識に追いやっていたと言うべきだろう。 だれも信じない、と心の表層では意思を固めてある。 しかし主であるさとりや空、こいし達との永い付き合いは、彼女の心の深層にしっかりと封されていた。 深く暗い海の底の堅牢な扉に何重もの鍵をかけて、ひっそりとカケラ達は封されていた。 ―――――――――――― 霧のかかる森。 放たれる生者特有の活力や気配は森や湖に獲物の到来を知らせるには充分すぎた。 喜々とした様子を連想させる木々の囁き。 天候が急変した、と言う事もあるが多くの大木の枝が密に絡まり合い 分厚い葉をなんとか通過した太陽の光が細々と降り注ぐ森。 母から離れ地に身を寄せる落ち葉や木の枝は歩を進めるたび悪意のある音を立て。 まるで発信機の様に周囲に自分の位置を知らせる。 神経を尖らせ細心の注意を払っているが、人影らしきものはみつからない。 不気味にざわつく湖の波の音や風に揺れる木々の音が遠方から聞こえる程度だ。 「やけに薄気味悪い場所ね」 天子の感想は率直な感想であり至って平均的な感想だ。 森というのはに粗雑に二通りに分類出来る。。 神秘・幻想的であるか、おどろおどろしく不気味かの二通り。 どうやらこの森は後者であるようだ。 厚くかかる霧は森の裏の顔さえも綺麗に覆い隠していた。 不意に空気が凍りついた様な冷たさに豹変した気がした。 第六感的とでもいうのだろうか、本当に何気なくだ。 この濃霧の森、という緊張下であまりにも警戒心を鋭敏にしすぎているためだろうか。 周囲をキョロキョロと見渡す、が以前影は見えない。 先程よりも淡々と濃くなり続ける霧の中、殺気が紛れ込んでいる様子はない。 (まあどんな猛者が来ようと負ける気はないし、死ぬ気もないけどね……。) 恐らく気のせいだったのだろう、と自らに結論付け歩を進める。 刹那、天子の視界の端に黄銅色の分銅が空を裂きながら飛来する。 一瞬の判断、それは懸命な選択だった。 回避は不可能、と判断を下した脳は自らの能力、及び体力を消費した防御行動を優先した。 地中から隆起する岩は普段の数分の一程度の厚み、大きさにしかならなかった。 想像していたよりも遥かに強い制限がかけられている様だった、結果はマイナス修正となるだろう。 咄嗟に背中のスキマ袋を岩と腕との間に入れる。 飛来する金属の塊は岩程度を易々と砕き、スキマ袋が間に入ることで其の勢いを落としたが 天子の左腕に強大な爪あとを残していった。 意識がある以上死んではいない、当たり前の事だが。 しかし腕が燃えるような痛みを発しているので視線を向ける。 ズキズキと紅潮する患部からは打撲性のため出血は見て取れない、ひびなどは入っていないと思いたいが……。 問題は傷の大小ではない、私、天人が傷を負ったという事だ。 普段ならばこの程度、気にかける必要もない。 予想はしていた事だが参加者固有の能力だけでなくやはり身体能力も低下させられているらしい。 勿論参加者毎に制限の大小はあるだろうが。 木の陰から細心の注意を払いゆっくりと前方を確認する、本当にうっすらとだが姿は確認できる。 これだけ霧深い森のはずだ、しかし相手はこちらの位置を正確に掴んでいる。 可能性があるとすれば。 「白狼天狗……?」 確か千里先まで見通せる眼を持っていたはずだ。 能力制限下であろうとも所詮1ブロック内、この程度の距離、わけなく見渡せるはず。 何にせよ状況は最悪。 こちらからは相手が視認出来ないが、相手は正確な位置まで掴んでいる。 こちらの武器となる物は発射に時間のかかる和弓、武器としては上々のモノである事は確かだが……。 残念な事に私の腕前は拙いと来ている、当たるかどうかは半々といったことだろうか。 それに朱塗りの杖を模した仕込み刀、不意打ち用に取っておきたいところだが……。 どうやらそうも言ってられないだろう。 先程の攻撃で左腕は重傷、とまではいかないが上げれば痛みを伴う。 弓を構えるにしたって片手では無理な話だ。 恐らく照準にはブレが生じるだろう。 相手の武器としては鉄球だろう、あれは。 スピードだけで言えば大して気に留める必要がある程ではない。 初撃の様に不意打ちかこちらが余程の隙を見せていなければ当たる事はないだろう。 しかしあの破壊力は捨て置けない 万が一直撃する様な事があれば重傷は免れない。 治療も難しいこの会場で手負いになる事は即ち直接死への手解きとなる。 この先のこちらの状況は極めて不利な局面に追い込まれることだろう。 条件としては対等、であると思いたいがまだ相手が全てを見せきったと確定したわけではない。 他の武装を考慮すると楽観は出来ない。 「さてどうしたものか…」 動けずに天子が思惟を練っていると、あろう事か声が聞こえてきた、それもとても大きな呼びかけが。 「おねぇさーん、もうしたいになってくれたのかな~?」 体を捻るようにして此方の姿を極力見せずに確認する。 霧の中に先程より濃く相手方の姿が浮かぶ、影絵のような状態だが獣の耳、いや猫の耳が確認出来る。 また猫の妖怪か……。 「私は小森じゃないわよ……。」 天子の独り言など聞こえていないように、猫は続ける 「おねぇさんはいったいどんなしたいになってくれるのかなぁ」 猫はまるで幽霊のように音すら残さずまた霧の中にフッと消えていった。 周囲には再び甦る静寂。 溢れる間際の水のように張り詰めた緊張感の中、天子は打開策に頭を巡らす。 捻り出せなければその先には限られた未来しかない。 天人である私がそのような未来に到達してはならない、いやするわけがないのだ。 「あー、もう何で私ばっかりこんな変な敵とばかり!」 ――――――――――――― 燐は喜々として考えていた。 素晴らしい、その一言だった。 今まで見てきたどんな死体候補よりも良い反応。 あの博麗の巫女に匹敵するのではないか、と言う程の危機察知能力 最善の方法を考察し即座に実行出来る身体能力。 一撃で仕留められると思ったが、それは間違いだった。 全力を賭さなければこちらが殺されるだろう。 ああよだれがたれそうだ、こんなにもていこうしてくるなんて。 ぜひしとめたい。 燐の頭は嘗て無いほど冴え渡っていた。 脳内麻薬による痛覚の麻痺は思考を鈍らせている。 だが本能は増長されていた。 燐の反応力は今研ぎ澄まされている、まるで片目のハンデを補うかのように 視界内に動く物があれば瞬時に反応し行動出来る瞬発力。 彼女が妖怪だからとは言えそれはあまりにも素早すぎた。 時に過剰な力はその者自身を首を絞めることになる。 ぬーっと影が現れる、燐は虚ろな眼でシャラシャラと鎖に着いた鉄球を引きずりつつ影の方向に歩を進める。 動かない影に対し腕を後方に回し捻るように鉄球に勢いを付け力任せに影を薙ぎ払う。 それが霧の匙加減による木々の揺らぎだという事に気づくのは 木の幹に甚く純粋な暴力で凶悪な窪みが刻み込まれてからの事だった。 「あれ?おっかしーなー?」 其の時、燐の体が180度捻られた。 もし側で見ている者が居ればまるで首が半回転したかの様に見えたことだろう。 それ程素早い動きだった。 燐の欠けた眼が捉えたのはまた影。 正常な思考の者が見れば一目でヒトではない、と分かる事だろう。 いや、燐も分かっているはずなのだ。 ここでも歯止めの利かない無邪気な力は邪魔な物だった。 思考の時間を削ってまで反応力は極限にまで高められている。 「ぜんぶつぶしていけばいいはなしなんだけどね。」 次々と揺らぎ現れる影を。 まるで悪夢から逃れるように振りほどき。 唯ひたすら周囲の万物を破壊し続ける。 無駄の多い動きの様で実に確実性の高い方法でもあった。 燐は狂っているのだろうか。 ―――――――――――― 天子の結論は出ていた。 やはり弓矢を使うしかないだろう。 いくら隙が多いからとは言えあの速度で振り回される鉄球に 自らみすみす近づいて行くというのは愚の骨頂だ。 全て避けきれる、又は防ぎきれる技量と体力があれば別だが。 今の制限下の私では、生成出来たあの薄い岩を見る限り厳しいだろう。 幸いな事に矢は未だ潤沢に揃っている。 やはり有効なのは死角からの攻撃。 だが中々動きの止まる事のない猫の背後を突くのは困難を極める事も確か。 何か決定的な動きを止める策が必要だった。 これだけ濃い霧の中だ、普段では使えないような何かがある筈。 一度弓矢を構え、猫に攻撃を仕掛けて見ようかと思った。 が、影が見える程度では当てるのも困難。 仮に当たったとしても致命傷となる部位に当たっている、となると更に公算は小さい。 虎視眈々と機会を伺いつつ猫の動きを観察し続ける。 移動さえしなければ音は立たない、こちらの位置を気取られる事はないだろう。 それにしても何だ?一向に止まる気配はない。 あの猫の体力は無尽蔵なのかあれだけの物を振り回し続けていても 息の上がっている様子さえ見て取れない。 殺し合いで無駄に体力を消費する事がどれだけ愚かしい事か分かっているのだろうか。 睡眠、食事、如何なる時でも敵の眼を気にかけていなければならない。 休憩さえも満足に取れない、気が休まる時など僅かにしか存在しない。 気を休めればそれは後々自らを窮地へと追い詰めていく敵となる。 しかし私はそんな物を求めていたのだ、一体これは何日間続ける事が出来るだろう。 あの猫との戦いにしたってそうだ、普段では絶対に存在し得ない状況下で 私はこうやって潜み、反撃の機会を待っている。 なんと素晴らしい事だろうか、死神との戦いではこの様な経験は得られない。 一方的に待ちに甘んずる事など初めてだ。 この先良い経験となって生きる事は間違いないだろう。 未だ猫の勢いが止まる気配はない。 全く呆れる。 気でも違っているんじゃないか、あの猫は。 本当にスタミナ切れが存在しないんじゃないか。 ふと気づく。 (……この手があったわね) なんだ簡単な事ではないか。 あの猫の今の状態と私の能力を考慮すれば隙を作り出すなんて。 あの猫は私の姿も一度はっきりと確認している。 私の左腕もなんとか保っている。 再び茂みの葉をゆっくりと千切り様子を伺う。 猫は私を見失ったらしく周囲に主な武装である鉄球をブンブンと振り回している。 今のアレには恐らく揺らぐ木々までもが私に見えている、という事なのだろう。 この殺し合いの重圧に耐え切れず発狂したのだろうか、それとも踏ん切りがついているのだろうか。 どちらにせよ私があの様な獣に負けるわけがない。 正常な思考を成せない者に勝利は決して訪れない 例え理論が崩れていようとそれに気づけないからだ。 破綻した理論はまるで坂から転がした雪球の様に周囲をも巻き込みつつ肥大し続ける。 (さて、とお遊びはここまでにしましょうか、猫さん?) 自らの勝利を確信した天子は着々と準備を進める。 しかし計画が確実に自らの考えと同じに動く事は有り得ない。 それはこの状況下でも言える事だった。 ―――――――――――― はらっても。 はらっても。 どれだけはらっても。 まるでげんかくみたいにあらわれつづける、おねーさんの影。 ほんとうに生きているのかどうかふしぎになってきた。 やっぱり影に当てているだけじゃどうもわかりにくい。 ……… …… … つぎにでてきたら もうおしまいにしちゃおう。 ちかづいてぶちあてるかのどをかっきればそれでおしまい。 辺りに逼迫した空気が流れる。 天子も燐も決定打を狙っているため両者とも音を立てる事はない。 風に漂う霧が澱んだ気の様をありありと明示する。 そんな燐の前に再び影が現れる。 茂みから飛び出る形で人の形と帽子が見て取れる。 「もう……これでおねーさんはしたいけってい。」 霧の中の人影に向かい全力を込め分銅を振るう。 本体の重さと加速により空気を裂き天子の横腹へと直撃する。 肋骨は折れその欠片は肺へと突き刺さる、他の内臓も破裂は免れない。 口に血の泡を吐いてるおねーさんのしたいのできあがり、となるのが燐の頭の中での構想であり確定事項。 のはずだった。 だが更に同じ影は現れる。 その隣にもまた更に現れる。 気づけば茂みの向こうは同じ影がずらりと並んでいた。 「え?」 一瞬、僅か一瞬だが燐の思考に空白が生まれる。 視覚に入った奇妙な光景は体の動きをも同じく一瞬止めた。 この戦いの中においてそれは命取りとも成りかねないもの。 燐が分銅を振り回し目標と始点との間程に分銅が舞う。 瞬間背後の茂みの更に後方、地に伏せていた影が音も立てずに起き上がった。 黒塗りの弓を構えた天子の姿がそこに現れた。 ―――――――――――― 帽子を模った岩を燐を支点に自らの潜む茂みと正反対、対極側に設置。 大地を操り隆起させた帽子の岩を乗せた岩石によって あたかも私が姿を現したように見せる。 造形するのは一部でよかった、茂みにより全体像は掴めない。 一度に大量に出現した私の偶像は狂っている猫とは言え一瞬でも隙を生むだろう。 それに反応し気を取られる事が大切だったのだ。 案の定、猫は静止したまま動かない。 こちらに無防備な背中を向けている。 これならば当てられる公算は大きい、式の式の時と似たような距離だ。 私ならばやれるはず。 矢を限界一杯まで弦にかけ、弓を持つ手にも自然に力が入っていた。 (この一撃だけなんとか保って頂戴ね……) 天子の心は屋島のそれであった。 周囲の地形、天候は違えど困難な射である事は同じ。 風神の悪戯により荒れ狂う海、吹き荒れる北風。 沖の小船も波を受けその体をゆらりゆらりと揺らす。 距離も普通では考えられない、常人には成せないモノ。 それでも敵の挑発に自ら乗り。 それを見事遣って退けたあの武神に肖ろう。 私も同じ様にあの“扇”を撃ち落し。 この戦いに幕を引く事にしよう。 発射の時を今か今か、と待ち構えていた矢を開放する。 極限まで充填されていたその勢いは。 風切り音を発しながらその扇へ向かい飛んで行った。 扇は貫かれその役目を終える筈だった。 だが天子のそれは武神とは比べ物にならない。 幾多の死線を掻い潜った事は同じでも弓矢の技量に関しては言うまでもない。 目標から大きく逸れた矢は悔恨の念を持ちながら地にその身を預けることになった。 しかしこうなる事も想定の範囲内ではあった。 自らの弓矢の技量は自身が一番知っている。 直ちに抜き身の刀を手に取り猫との距離を詰める。 もう一度あの様な“猫だまし”は効かない。 いや、正確には出来ないだろう。 体力が底を尽くのは目に見えている。 幸い未だ猫はこちらに気づいていない様子だ。 鉄球を振りかぶり、岩へ向け勢いをつけている。 まるで燕の様な速さで猫に迫る。 茂みを掻き分ける、猫の姿がはっきりと見て取れる。 5m 地を踏み締める音一つさえも遅く感じる。 4m 木々が風に揺れながらこちらを嘲笑っている、何が可笑しいのだろう。 3m 木々の囁き声が断片的に聴こえてくる。 2m 猫に近づくにつれ自然の万象の嗤う声は大きくなる。 1m 「あの娘、死ぬね」 一瞬天子は動かなかった。 否、動けなかった。 既に刀は突き刺さっている。 尤も胸部ではなく左肩にだが。 しかしこちらが圧倒的に有利な状況なのは確か。 だが本能が警鐘を鳴らしていた。 幾度も繰り返される死神との戦いの中。 繰り出される鎌の動き、精神の根幹に訴えかけてくる精神攻撃。 風を切り裂きながら飛来する剣圧、操られ忍び寄る死霊。 それらを永い年月の間、一瞬の間をお互いに探り合う戦いを続けてきた。 天子の危殆を予期する能力は極限にまで高められていた。 それら幾多の死線を潜り抜けた脳が告げる、このままでは死ぬと。 その時。 背を向けている猫はこちらを振り返りもせず 可笑しな事でも聞いたかのように言葉を発した。 痛みさえも感じていないのだろうか。 「どうしたのさ、おねーさん。」 「そのかたなをしんぞうにつきさせばおわりだよ?」 「もっとも……」 天子はその先を聞こうとしなかった。 即座に刀を抜き薄く頼りない岩を隆起させ。 起こり得る“何か”に対する防御行動を取る。 コマ送りの様に感じた。 呼吸の一音から風に靡く葉の音までもが遅く聴こえる。 岩が隆起してくるのが、遥か未来の出来事の様な速度だ。 鉄球が飛来するのだろうか。 それはなかった。 猫の前方を確認すると鉄球は既に地に落ちていた。 ならば何だ、あの殺気は?。 岩は中腹辺りまで出現している。 私の思い過ごしだったのだろうか、それならばもう攻撃の機会は失われた。 既に天子は逃走の算段を立てていた。 チャンスがない以上無駄死にするわけにはいかない。 その時、猫の腋の下辺りから白く煌く刃が此方に向け飛んでくるのが見て取れた。 天子目掛けて一直線に飛んでくる其れは この世界の中でも、一段上の速度を持っていた。 不味い、岩での防御は間に合わない。 天子は即座に屈む。 が、この速度の中屈むという行動さえも非常に鈍いものだった。 徐々に迫り来る白刃、最悪の結果が頭を過ぎる。 しかし、それは左肩を浅く切り裂いただけで、天子の後方の木へと刺さった。 猫の声が聞こえる、何と言っているのかはもう聞こえない。 既に遥か後方、霧の奥となっていたからだ。 一時の隙を作り勝負を仕掛けたまでは良かった。 なぜ? こちらの手の内が読まれていた。 刀を突き刺したときのあの言葉。 いや違う、こちらの策がこうなるように仕向けられていたのか? 全ては猫が狂った認識を基に動いている、という前提により成立していた策。 それがもし。 もし猫が狂ったように“見せかけて”いただけならば……。 あの行動に対する解はこの事しか考えられない。 「予想以上に攻撃を貰い過ぎちゃったわね……。」 本来ならば八雲紫と戦うまでは無傷に近い状態でいたかったのだが。 あの猫はとんだ伏兵だった、天人である私相手にここまでやるとは。 左腕は砕ける、とまではいかないが重度の打撲を負い。 左肩は円形の刃物により浅く切り裂かれている。 その上自らは敗走。 相手にも深い傷を負わせたとは言え戦略的撤退、とは言い難い、完全な敗北だった。 ……… …… … 「あれは……?」 遠くの茂みの中にこの風景とは不釣合いな木製の荷車が見える あれもあの猫の持ち物だろうか、それにしては大きな支給品だ。 荷台から何かがはみ出している。 一方は人の手、だろうか。 袖は乾いた血で赤黒くに染まりロウでもたらしたように凝固している。 あの猫は殺した相手の死体を集めるのだろう、犠牲者の成れの果てといった所か。 (……悪い趣味を持っていらっしゃる事で。) もう一方は……。 見覚えのある衣だった。 長い布切れ、端が燃える様な緋色の布によってアクセントが加えられている。 そうであったはずなのに。 今は絹のような光沢を持ち雪の様に白かった部分も 美しさの欠片も無い悪趣味な深紅の色に染まっている。 ああ、間違いない。あれは竜宮の使いだろう。 一応それなりの実力者だ、それを仕留めたとあればやはりあの猫は猛者であったか。 スキマ袋の端が見える、今後のためにも武装が豊富であって困る事はない。 僅かな期待しか持てないが幾つか使える物も残されているかもしれない。 天子はそう判断しリヤカーを漁って見る事にした。 中を開き内部を除き込むがすでに中身はどちらもめぼしい物は見あたらない。 どうやら徒労となりそうだった。 (やっぱり何も残っていないか……。) 肩を落とし落胆した様子を見せる。 もう何もないだろう、と考え木々の間を潜り抜けようとした途端。 不意に足に力が入らなくなった。 足元を見ると、そこには落とし穴。 片足のみしか嵌っておらず、豪く浅い物だった。 普段ならば全く影響を為さない物だろう。 その後ろに鉄の輪を構え、顔が血に塗れた猫の姿がなければ。 既に猫はこちらへ接近してきており。 後数秒何も行動を取らなければ あの美麗な三日月に私の首は刎ねられ。 行き場を失った血液達が大地に吸い込まれていくことだろう。 この策で天子は全ての体力を使い切ってしまうだろう。 しかしコレでなければ、恐らくあの鉄球により通常の体力の注ぎ込み方の物では一瞬で砕かれる。 全身全霊を賭け能力を使う。 自らの四方向を覆い込む様に岩を幾重にも隆起させ。 某隙間妖怪の結界を彷彿とさせる囲い込みの防御。 隙間に刀を差し込もうとも折り重なるように連なる岩により阻まれ。 その厚い岩盤を砕くことは容易ではない。 外の音が聞こえてくる。 数回鉄球で岩を殴りつけたらしい。 岩を通した振動がこちらまで伝わってくる。 しかし想定以上に体力を使いすぎた……。 外の音は静かになっていく。 頭は鈍器で殴りつけられたような重い痛みを発し 左腕部は相変わらずズキズキと熱を発し続ける。 比較的新しい肩筋の傷からは生暖かい血が流れ出している。 徐々に瞼が重く垂れ下がってくる。 抵抗しようとするも力が入らない。 薄れゆく意識の中で天子が感じたモノは 安らかな休息の幸だった。 【C-3・霧の湖南西部周辺の森・一日目・午前】 【比那名居天子】 [状態]気絶 能力発動による疲労(極大)左肩に中度裂傷、左腕部に重度打撲 頭痛 [装備]永琳の弓、 朱塗りの杖(仕込み刀) 矢*12本 [道具]支給品一式×2、悪趣味な傘、橙の首(首輪付き)、河童の五色甲羅、矢5本 [思考・状況] 1.八雲紫の式、または八雲紫に会い自らの手で倒す。 2.残る幻想郷中の強者との戦いを楽しむ。 ※橙のランダムアイテムは河童の五色甲羅でした。 ※燐の鉄球を防御した後、スキマ袋は開けていません、中の道具が破損している可能性があります。 ※C-3森の中に横幅約2mの岩が出現しました。 ―――――――――――― 燐はボーっと空を見上げていた。 燦々と照りつける太陽は地底にはないもの 最近は地上に出てきているので特段珍しい物でもないが やはり何時見ても揺り籠に揺られるような安心感を生む熱と日差しは良い物だった。 “お空”の太陽も確かに暖かいものであったが。 この様な安堵感は伴わず、膨大な光と熱を生み出すだけの物だった。 天子の岩の要塞の攻略は諦めざるを得なかった。 幾たび叩こうと決して破れる気配はない。 あまり一死体候補に執着しすぎるのも良い事ではないという判断の結果だった。 燐は地獄猫の姿となり自らのスキマ袋を咥え、次なる獲物を探していた。 左肩の傷と同じ部位の左前足を引きずる様にしながら。 歩を進めながらも死体に募る思いは大きなものだった。 あのふつうの人間のまほうつかいの死体なんていいなぁ はく麗の巫女と一緒にかざったらとってもすてきだろうなぁ。 燐は仕留めてもいない生者達に思いを馳せうっとり悦に入る。 と、その時右足が折れるようにして姿勢をガクっと崩す。 (あれ、おかしいなぁ) 力を入れ立ち上がるも這いずる程度が精一杯だった。、 痛覚は感じずとも血は流れを止める事は無い。 体中傷を負っていない場所はほとんどない、本来なら今すぐ医者に見せるべき状態だ。 頭では動こうとしても身体が言う事を聞かないのだ、狂気に陥った頭に警鐘を鳴らすように。 これ以上動き続けては死んでしまう、と 本能の警告に反するほど燐は愚かではなかった、素直に従わなかった未来には死が待っている。 「すこし……やすまないといけないみたい」 ああ時間が惜しい。 だがたとえあたいが休んでいても他のこうほ同士が互いに死体になってくれるだろう。 ならばあたいはしたい集めのためにせいりょくをつけないと。 霧の中色とりどりの花が妖しく咲き誇る湖畔、一匹の猫が木の下で丸くなり休憩を取っていた。 辺りでは花が笑い僅かな日光が葉の隙間を縫うようにして湖面に差し込みダイヤモンドの様に輝く。 絵画の一部を切り取ったような美しさ。 傍から見れば和ましい光景に見えるだろう。 其の猫が内に危険な狂気を抱いていることを除けば。 【C-3・C-2寄り霧の湖北部の森・午前・一日目】 【火焔猫燐】 [状態]休憩・右目消失、アドレナリン大量分泌による痛覚の麻痺? 頭部に小さな切り傷(ほぼ塞) 頬にあざ、左肩に中度の刺傷(出血)・発狂? [装備]洩矢の鉄の輪×2 [道具]支給品一式×2、首輪探知機、萃香の瓢箪、気質発現装置、東のつづら 萃香の分銅● [思考・状況]基本方針;死体集め 1.したいあつめはたのしいな~ 2.もう誰も信用しない 3. うさぎさんに“お礼”をする。 ※C-3の南西部は気質発現装置により濃霧に包まれました、正午には解除されます。 ※【気質発現装置】は現在居る1ブロックの一部の天候をランダムに変化、4時間で解除されます。12時間使用制限。 ※リヤカー{死体が3~4人ほど収まる大きさ、スキマ袋*1積載(中身は空です。)}はC-3南西部の森湖畔沿いに安置されています。 76 GSK 最高経営責任者 (2009) 時系列順 79 殉教者の理由/Martyr s Cause 77 ふたりはいっしょ 投下順 79 殉教者の理由/Martyr s Cause 53 死より得るもの/Necrologia 比那名居天子 88 文々。事件簿‐残酷な天子のテーゼ‐ 58 光り輝く探知機のトラウマ 火焔猫燐 99 夢よりも儚い砕月
https://w.atwiki.jp/kuroneko_2ch/pages/489.html
黒猫「・・・・・ねぇ、その・・・・・あれってどれくらい処理すれば良いのかしら」 桐乃「は?あれって?」 黒猫「あ、あああれはあれよ!・・・・・下のというか・・・・・」 桐乃「だからはっきり・・・あ、あー!わかったわかった。あんた初心杉www」 黒猫「うるさいわね・・・・・・どうなの?」 桐乃「今度私がやってあげるよ。ただし『お姉ちゃん』って呼んでね(ハァハァ」 黒猫「」
https://w.atwiki.jp/kuroneko_2ch/pages/737.html
ある日の黒猫と京介とあやせ 「―――そうね」 「……」 「付き合っている間もその前も、『結婚してくれ』だなんて言われたことはないわね」 「ほ、ほらやっぱり!結局この人とは遊びだったんですよね、お兄さん!」 「っ……!そう、キスしたこともなければまともに手を繋いだこともないわ。……貴女の言うとおり遊びだったのかもしれないわね」 「っ!そんなわけ―――」 「最高に不愉快だからここで失礼するわ。桐乃達にはよろしく言っておいて頂戴」 「ちょ、ちょっと待てって!」 「……最後に貴女の知らないことを教えてあげようかしら」 「……なんですか」 「私と京介は―――もう別れたわ」 「……えっ?」 「おめでとう、次は貴女のターンよ。精々頑張りなさい」 「嘘っ……私そんなの知らな……」 「それじゃあ帰るとしましょう。はぁ、電車代が無駄になってしまったわね」 「待っ……」 「何度も言わせないで頂戴―――さようなら」 数時間後 あやせに呼び出された黒猫 「貴女に呼び出されたからわざわざ来たのだけど」 「っ……その……」 「用がないなら帰るわ。こう見えても忙しいの」 「ま、待ってください!」 「だったらさっさとして頂戴。正直言うとあまり貴女とは関わり合いになりたくないのよ」 「さっきは、その……すみませんでした」 「……」 「黒猫さんのこと何も知らずに、考えずに好き勝手言って……本当にごめんなさい!」 「……別に気にしてなんていないわ。貴女が言ったこと―――そう間違ってはいないでしょうし」 「そ、そんなこと!」 「……そんなこと?」 「……そんなこと、ないと思います。お兄さんは遊びなんかじゃ」 「どうしてそう言えるの?」 「夏休み、最後に会ったとき言われたんです」 「……」 「『もうセク」 「セク?」 「あ、いやその……えっと……そう!『恋人が出来たからもう前みたいには親しく出来ない』……みたいなことを」 「言い直したことが引っ掛かるのだけれど……」 「それは気にしないでください!忘れてください!」 「……まあいいわ」 「だから……その……お兄さんはいい加減な気持ちで付き合ってたわけじゃないと思います」 「……ふん」 「もっとお兄さんのこと、信じてあげてください。黒猫さんが考えてる以上に、お兄さんは黒猫さんのこと……大切に思ってるはずですから」 「……貴女は」 「えっ?」 「貴女はそれでいいの?」 「何を……」 「貴女の想いはどうなるの?そんなことで諦めても」 「黒猫さんは!」 「!!」 「黒猫さんは、もう少し自分に甘くなってもいいと思います」 「……な、何を」 「フェアでいようとするのは分かりますけど……自分から不利な方向に不利な方向に行こうとしてるように見えます」 「……貴女に何が分かると言うの」 「忠告ですよ。黒猫さんが後悔しないように」 「……それはどうも、ご忠告感謝するわ」 「いえいえ……それより黒猫さん、よかったら仲直りしませんか?」 「仲直りも何も最初から関係は最悪……」 「それは言いっこなしです!とにかく、仲直り」 スッ 「……」 スッ ギリィ 「痛っ!?ちょっと何を……!」 「おやおや困りますね、このくらいの苦痛に耐えられないようじゃ……お兄さんと桐乃を本当の意味で墜とすなんて出来ませんよ?」 「……あ、貴女」 「黒猫さんにはもっと強くなってもらわないと、そうじゃなきゃ……安心して手を引けないでしょ?」
https://w.atwiki.jp/blackcat2007/pages/21.html
名前 アジアン Lv 65/26 職業 バード 種族 エミル 性別 ♂ 所属リング 黒猫の夜想曲 主な出現場所 不死城 一言 『名前の由来は「薔薇のマリア」ですよ。まぁなんとなくつけた 名前だが愛着沸いてくるものだな。』
https://w.atwiki.jp/kuroneko_2ch/pages/664.html
今日は、俺が妹から人生相談を受けた話をしようと思う。 おっと、妹とは言ったが、おそらく皆が思い浮かべたであろうヤツのことではないぞ? 「ねーねー、高坂くん! いいの? ホントにいいの?」 「ああ、どれ頼んでもいいぞ」 「やったー! よーし、あたしいっぱい頼んじゃうもんねっ」 キラキラと表情を輝かせながらファミレスのメニューを覗き込んでいる、おさげ頭の女の子。 それは黒猫の妹、五更日向だ。 念のために言っておくが、「ファミレスで飯をおごること」が俺の受けた人生相談ってワケじゃないからな? その話は、もうちょっと後で出てくることになる。 さて、俺がどうして黒猫ではなく、その妹である日向ちゃんとファミレスなんぞでメシを食おうとしているのか。 疑問に思っている方もいるだろう。 ぶっちゃけた話、それは俺の作戦だった。 この時の俺には2つの狙いがあったのさ。 ひとつは時間つぶし。 そしてもうひとつは……。 「にゅふふ~、どうしようかなぁ~、迷っちゃうな~」 まるでエロゲヒロインを誰から攻略するか悩んでいるどこぞのオタクっ娘のようだな。 微妙にイラッとくるぜ。 しかしこれでいい……これでいいのだ。 まさに計画通りッ! 「じゃあじゃあ~、このチーズハンバーグをセットで。あと、ピザをマルゲリータとエビマヨの2つ。最後にケーキ3つね」 「どんだけ食う気だよこの欠食児童!」 なに? 最近の女子小学生ってこんなに食うの? 「えぇ~、1人で全部食べるわけないじゃん」 慄く俺に、日向ちゃんはその頬をぷっと膨らませた。 「ルリ姉と珠希にもお土産でどうかなってさ」 「あー、そうかよ。ピザとケーキがテイクアウトね。わかったわかった」 ちったあ遠慮しろとも思ったが、そういうことなら納得できなくもない。 疲れた仕草で緩慢に呼び鈴を押す俺を、ニヤリと日向ちゃんが見つめてくる。 こうやって見ると、やっぱ姉妹だな。 俺をからかって遊んでいる時の黒猫にそっくりだ。くそう。 料理が運ばれてくるまでの間、飽きもせずメニューを眺めたり、ドリンクバーを何往復もしたりしていた日向ちゃんだが、鉄板に乗せられたチーズハンバーグが目の前にデンっと置かれると、すっかりその姿に魅了されてしまったようだ。 陶然として、今にも口からヨダレがこぼれそうな顔をしている。 そういや、五更家では魚好きでヘルシー料理の鉄人である黒猫姉さまが高頻度で食事の用意をするらしいし、でかいハンバーグなんて滅多に出てこないのかもな。 「ほれ、遠慮せず食えよ。熱いうちに食っちまった方がいいだろ」 「そうだね、ありがとう高坂くん! じゃあ、いっただっきまーす! はぐっ……もぎゅもぎゅ……お、おいしーwww」 やれやれ。 多少出費がかさんだが、ここまで喜んでくれるなら悪い気はしない。 幸せそうに肉を頬張る姿を見ていると、素直にそう思うよ。 それに……フフフフフ。 俺の計画は、今この時、完全に達成されている。 そう! 五更日向の口封じという、密かなる計画がな! あ、誤解の無い様に言っておくが、なにか後ろ暗い秘密を握られたから■すとか、そういったあやせ的な話ではない。 メシ食っている間は黙っておとなしくしてるだろうってことだ(肩透かしだったらすまん)。 知っての通り、俺はつい先日かわいい恋人ができたばかりなのだが。 その恋人の妹である日向ちゃんは、姉が連れてきた恋人、つまり俺に興味シンシンなのである。 こいつはこの手の話好きそうなマセガキだしな。 黒猫と一緒の時はまだ多少の遠慮(というか姉の報復に対する警戒)があるようだが、黒猫がちょっとでも席を外すと、 「ねぇねぇ、ルリ姉とはいつケッコンすんの?」 「シンコン旅行は何年後とか決めてるの?」 「いつになったら高坂瑠璃とか五更京介って呼べるようになるの?」 などとうるさく質問を浴びせかけてくる(ちなみに「全部同じコト聞いてますよねえ?」などと突っ込んではいけない。調子に乗って余計に話しかけてくるからだ)。 そんなわけで、短時間ならともかく、長時間こいつと2人でいると非常に疲れるのだ。 黒猫に伝わる可能性を考えると、あまりいい加減なことを言うわけにもいかず。 かといってそう上手く話題を逸らすことも出来ない口下手な俺だ。 窮余の一策としてこいつをファミレスに連れ込むことを思いついたわけさ。 フッ。なかなか冴えてるだろ? 「ところでさー(もぎゅもぎゅ)高坂くんにさー(もぎゅもぎゅ)ルリ姉のことでー(もぎゅもぎゅ)聞きたいことがねー(もぎゅもぎゅ)あるんだけどー(もぎゅもぎゅ)」 「メシ食ってる時ぐらい黙ってろよ! 行儀悪すぎだぞおまえ!」 かえせ! 俺の計画の犠牲となった一葉さんをかえせ! 「ちゃんと飲み込んでからしゃべってるよ?」 そういうことじゃなくてだな……。 しかし、よく考えてみると、食事中でも軽く会話ぐらいはするわなー。 俺はなんで「食事を始めると静かになる」なんて思っちまったんだ? どうも追い詰められて正常な判断力を失っているような気がする。 「それよりさぁ、聞きたいことがあるんだってば」 「あんま答えたくねえ」 こんな体たらくでは何を言ってしまうかわかったものではない。君子危うきに近寄らずだ。 「もーっ! えーとね、ワリとマジメな話だからさ、ちゃんと答えて欲しいかなって、思う」 「む……?」 そう言う日向ちゃんの目は、確かにいつもよりちょっと真剣に見えた。 さっきも思ったけど、時々似てるんだよな、あいつに。 その表情は、真摯に何かへと取り組む黒猫の姿を思い出させる。 だから「ここは避けてはいけない」と、そんな気になったんだよ。 「わかった。話してみろ」 「うん」 神妙に頷く日向ちゃん。 その右手には、ハンバーグの刺さったフォークが握られていたけどな! まあ、ここは見て見ぬふりをするのが大人の対応というものだろう。たぶん。 「高坂くんはさ、なんでルリ姉とつきあってるの?」 すごい直球な質問だなオイ。 いつものようにニヤニヤと質問してきてるのならはぐらかすのだが、真剣な眼差しを見るにそういうわけにもいかないだろう。 しかし、こういうことを本気で話そうと思ったら……やたらと照れるな。 さらに追い討ちをかけるように、さっき見た黒猫の……。 いかんいかん! 顔が熱くなってきた。 「その、だな。お前の姉ちゃんから、こ、告白されたんだよ。で、OKして今に至る。い、以上だ」 「ちょ、照れすぎ……えーと、来年大学生だよね?」 「うるせーな! しかたねーだろ、女の子と付き合うどころか、告白されたことさえ生まれて初めてなんだぞ」 「高坂くんってさぁ、情けないことを平気で言うね」 「フッ……ホレんなよ?」 「ホレるわけないじゃん。マイナスポイントじゃん」 女子小学生にすごい冷たい目で睨まれた! 死にたい。 「……お前の姉ちゃんは俺の情けないところも好きと言ってくれたんだがな」 「ルリ姉シュミ悪……知ってたけど」 「実姉に対して容赦ねえなおまえ!」 あと、悪趣味の象徴にされた俺は結構傷ついたんですけどねえ。 「チッ、なんだよ、あれか? 俺と黒猫じゃつりあわないとか言いたいのか?」 「えっ?」 日向ちゃんはちょっと驚いたような顔をした。 これは図星だったか? 「まあ気持ちはわからんでもねーよ。黒猫は、言動とか行動とかにアレな所はあるが、美人だし、頑張り屋だし、すげーいい奴だしな。なんで俺みたいなのを選んだのかがわかんないんだろ?」 「えーと、高坂くん?」 「隠さなくてもいいんだぜ? なんつったって、俺にもわからん」 黒猫に対して辛辣な言葉を吐く日向ちゃんだが、その言葉とは裏腹に、姉をたいそう慕っている……なんてことは、鈍い俺にも十分すぎるぐらい分かっている。似たようなのが身内にいるからな。 その慕っている姉が、俺みたいなのを恋人として突然連れてきたら。 そりゃ変だなと思うだろうよ。 怒り狂ってもおかしくないね。「あたしの友達に手を出したら殺す」と脅してくる、どこかの誰かさんみたいにさ。 「けどな、その、好きだって言ってくれたからさ。すげー嬉しかったから。そしたらもう、付き合うしかねえじゃん? 情けなくても、自信がなくても、あいつの気持ちに応えてやりたいって、そう思ったからな。たとえ俺が、その場でOKの返事が出せないヘタレ男でもだ」 「へ? 告白されてその場でOK出せなかったの?」 「おおおおおうああああっ! ナシッ! 今のは忘れろ! というか忘れてお願い!」 なんだって俺はこう、ますます自分の株を下げるようなことを暴露してるんだ! こんなことで日向ちゃんに愛想を尽かされて小姑化されたら……まぁ、あいつにはこれ以上ないほど醜態をさらしまくって来たから、いまさら恋人解消なんてことにはならないだろうが……今日みたいに気軽なお家訪問ができなくなる可能性がある。 そいつはなんとか回避したいところだ。 というわけで、俺はその場を取り繕おうと思い、日向ちゃんに声をかけようとしたのだが―― 「にゅふっ……そっか」 なぜか日向ちゃんは呆れてもなかったし怒ってもなかった。 それどころか随分と上機嫌になって、にこにこ笑顔でハンバーグの攻略を再開していた。 正直わけがわからん。 その時の俺を傍から見ていたら、相当間抜けな顔が拝めただろうな。 「あのさ、高坂くん、ありがとね」 「んん? いや、だから遠慮せず食っていいって」 「ぶふぅっ。やめてよ、ハンバーグ吹くじゃん」 日向ちゃんは可笑しくてたまらないと言った感じで、 「あ、でも……そっか、『情けないところも好き』か……そーいうことなのかなぁ」 などと、なにやらふむふむと1人で納得し、 「ま、とにかく。今後ともよろしくね、お兄ちゃん!」 と、終始笑顔でお願いしてきたのだった。 相当混乱していた俺は、その時初めて日向ちゃんから「お兄ちゃん」と呼ばれたという事実に、かなり後になってから気付くことになる。 さらに言うと、日向ちゃんの真意を「はー? まだ気付いてなかったの? さすがお兄ちゃん」などと呆れながら解説してもらうには、更なる月日を必要とした。 「あのね、奥手で、不器用で、初デートに『あの衣装』で出陣するようなルリ姉が、ちゃんと恋愛できてんのかなって心配してたの。高坂くんが引きまくってたり、イヤイヤ付き合ったりしてるんじゃないかってね。でも、ルリ姉のことわかってくれた上で、喜んで付き合ってくれてるみたいだったし、なにより」 「『あのルリ姉より奥手で、不器用で、情けない人』なんだってわかったから。ホッとして、よかったなって思ったんだー」 その解説を聞いて、「ああ、黒猫はいい妹を持ったな」と思う前に、「実姉同様俺にも容赦ねえなこのクソガキ!」と叫んだ俺を誰も責められはしまい。 そうだろう? さて、話をファミレスに戻そう。 ここで終わっていれば、微笑ましい青春の1ページと言えなくもなかったんだがな。 残念ながら、俺にはまだ、語るべきことがある。 そう、妹からの人生相談だ。 「ところでさあ、高坂くん」 「んー、なんだー?」 とっくに食事は終わり、現実逃避気味に……いや、誤魔化してもしょうがない。雑談でお茶を濁していた俺達だが、お互いそろそろ現実と戦わなければならないことには気付いていた。 もう「あの不幸な事故」から1時間以上経過してるしな。いいかげん怒りも収まってきているだろう。 おっかなくてメールもしてないし、これ以上時が経つと本気で心配させてしまいそうだ。そんなことになれば、ますます不興を買いかねない。 けどなぁ……はぁ。どうしたものやら。 あれこれと悩んでいると、日向ちゃんが何か思いついたようにぱんっと拍手を打った。 「あっ! そうそうあれがあるんだー、人生相談ってヤツ?」 「ほう、そう来たか」 黒猫から聞いたんだろうな。「……っふ……あの雄はね、妹から人生相談を持ちかけられると何でもホイホイ聞いてしまう哀れな家畜なのよ」とでも言いやがったに違いない。 OKだ。ならばその期待に応えてやろうじゃないか。 相談してくる内容も予想付いてるしな。 「ルリ姉をからかいすぎて家を追い出されちゃったあたしは、どう謝ったら許してもらえると思う?」 そろそろ、状況が知らされずイライラしてる人もいるだろう。 現状を簡潔にまとめてみたい。 今日の朝だ。黒猫との逢瀬を楽しみにしすぎていた俺は、予定時刻の1時間も前にルンルン気分で五更家を訪れた。 たまたま玄関を掃除していた日向ちゃんに案内され、五更家の敷居をまたがせてもらった。 そこで半裸の黒猫と遭遇した。 バスタオル以外何も着てなかった。 珠希ちゃんも半裸だった(と、思う。正直、黒猫に目が釘付けになってあまり見ていなかった)。 湯上りでほんのり朱に染まる、黒猫の白い柔肌。バスタオルの隙間から覗くそれが、見る見るうちに真っ赤になった。 「ひゃぁぁぁ~ん、くぁwせdrftgyふじこlp;(日向ちゃんが黒猫をからかっていたようだが、内容は全く覚えてない)」 真っ赤だった黒猫の表情が、違う意味で真っ赤に燃え上がるのが見えた。 その“堕天聖の獄焔(ノヴァ・メギッド)”は“無垢なる冤罪人(ノー・ギルティ)”である俺を“破廉恥な雄(メイル・オブ・エロス)”と“理不尽に罵倒(カオティック・シャウト)”させ……(中略)……日向ちゃんと2人揃って家から追い出された。 説明終わり。 てゆーか、ひどくね? 早く黒猫に逢いたくていそいそと出向いてきたのにこの仕打ち。 誰だ、早起きは三文の徳とか言い出したのは。とんでもねぇ大嘘だぜ。 「だいたいさぁ、高坂くんがいけないんだよ。『ルリ姉の裸見れてほんとは嬉しいんでしょ』って聞いたら、あんなにだらしなく『ま、まぁな。うへへ、黒猫おおおおん!』とか言っちゃうんだもん」 「『うへへ』からは言ってねえよ!? ホントに言ったっぽく捏造するな!」 「でも、あれで完全にキレたのはジジツだよねぇ?」 いや、その、ね? マジやばかったんだって! 風呂上りでしっとり濡れた黒髪とか、ほんのり湯気が立ち上る桃色の肌とかさあ! しかも、恥ずかしがってバスタオルで体を隠そうとするんだけど、強く握りすぎて余計に肌の露出が増えて、またそれが絶妙な感じでチラチラと…… って、だからそんなことはどうでもよくて! 「おまえが姉ちゃんに許してもらえる方法か……俺が黒猫に許してもらう方法と同じぐらいの難題だなそりゃ」 日向ちゃんと俺は、どちらともなく目を見合わせる。 そして同時に漏れるため息。 本当のところを言えば、その方法も道筋も見えてはいるのだ。「そのために」ピザとケーキを買ったんだしな。 お土産として秀逸なチョイスとは言えないが、手ぶらで戻るよりはマシってもんだろう。 つまり、あとはひたすら謝るだけ……なのだが。 はてさて、それが何時間かかるやら。 「ま、ここでグズグズしててもしょーがねえ。戻って一緒に頭を下げようぜ。晩のおかずが闇に消えないぐらいには庇ってやるよ」 「イマイチ頼りないけど、もうそれでいいや。じゃあ矢面はまかせたからね、高坂くん!」 ちぇ、調子の良いガキだな。 けどまあ、いいさ。やってやるよ。 なんたって俺は、妹の人生相談はホイホイ聞いてしまう男ですからねえ。 それにさ。いままで受けた人生相談を、俺は一度も投げ出さなかった。 まったく自慢にもならない、無様でみっともないやり方だったけど、ちゃんと最後までやり遂げてきた。それは俺にとって勲章みたいなもんなんだよ。ちっぽけなモンだけどな! だから今回も、無様にみっともなく黒猫に許しを請うさ。 そしていざとなったらいつものように―― 「いろいろスンマセン! 反省してます! 許して! この通り!」 最近めっきり板についてきた、必殺の土下座を繰り出すだけさ。 おわり
https://w.atwiki.jp/h264hirasa/pages/35.html
#include stdio.h #include math.h #include stdlib.h #define FILE_NAME "sample_yyy.yyy"/*元データのファイル名(ただし、同じディレクトリに保存すること)*/ #define WSIZE 352/*元データの横サイズ*/ #define HSIZE 240/*元データの縦サイズ*/ /*画像データが入ってる配列*/ unsigned char Y[HSIZE][WSIZE]; image_input(){ FILE *fp; int k,i,j; unsigned char buf[1024]; /*画像ファイルの読み込み*/ fp = fopen(FILE_NAME, "rb"); for(i = 0; i HSIZE; i++){ fread(buf, sizeof(unsigned char), WSIZE ,fp); for(j = 0; j WSIZE; j++){ Y[i][j] = buf[j]; } } void main(){ image_input(); } }
https://w.atwiki.jp/kuroneko_2ch/pages/635.html
日向 「高坂く~ん、ここ分かんない~」 京介 「……お前さっきからそればっかりじゃねえか。自分の宿題なんだから、少しは自分で考えろって」 日向 「考えても分からないから聞いてるんだよぅ。……あーもー! 算数なんて出来なくても生きるのには困んないよ~!」 京介 「いや、さすがに困るだろ。一般常識的に考えて」 日向 「むぐっ……、だ、大丈夫! そのうちルリ姉のフのソーネンがぼーそーして世界を滅亡に導くから!」 京介 「お前、都合のいいときだけ姉ちゃんの異能力を利用すんなよ……」 日向 「――ぶぅ~、高坂くん冷たいよぅ。カワイイ妹がこんなにお願いしてるのに」 京介 「自分でカワイイとか言うか。ってか、いつからお前は俺の妹になったんだ」 日向 「にゅふ、将来高坂くんがルリ姉とケッコンすれば、あたし“お兄ちゃんの妹”になるんだよね?」 京介 「っけ!?」 日向 「ふふ~ん、だからお兄ちゃんは、未来の妹のお願いを聞いてあげる義務があると思うんだっ」 京介 「……これ以上厄介な妹が増えるのは勘弁して欲しいところだが……」 日向 「ん? 何か言った?」 京介 「いや何でも。――っていうか、一つ思うことがあるんだが」 日向 「どうしたの、急に改まって」 京介 「……俺は、彼女の家に彼女を迎えに来たはずなのに、どうしてその妹の夏休みの宿題を見てあげているんだ?」 日向 「……ルリ姉のお着替えが長いのはいつものことだけど……約束の一時間前に来る高坂くんもどうかと思うよ?」 京介 「い、いやあ、何か気が早っちまって…………その、すんません」 日向 「まあルリ姉も悪い気はしてないみたいだからいいけどさ。――ってことで、時間は有効に使わないとっ、ね!」 京介 「なんかお前の都合よく使われてる気がしないでもないが……ったく、仕方ねえな。どこが分からないって?」 日向 「えっとね……ここっ」 ぴとっ 京介 「あ、あんまりくっつくなよ」 日向 「んー? あれェ~、もしかして照れてるぅ?」 京介 「なっ、んなわけあるかっ、こんな地味なガキんちょに。単に暑苦しいだけだっての」 日向 「あー! また地味って言ったな! ヒドイよ高坂くん、純情な乙女心を傷付けてーっ!」 京介 「……結構気にしてるんだな」 日向 「だからっ、あたしが地味に見えるのはこの髪型とお下がりの服のせいなんだってばっ!」 京介 「そういえば、お前って髪の毛解くと黒猫ソックリだよな。やっぱ姉妹だよなぁ」 日向 「くろねこ? ……お兄ちゃん、まだルリ姉のことそう呼んでるの?」 京介 「ん……まぁ、何ていうか、そっちに慣れちまってるからなぁ」 日向 「ダメだよっ、もうルリ姉とお兄ちゃんはハンリョなんだから、ちゃんと名前で呼ばないと!」 京介 「は、伴侶ってお前、意味分かってなくて言ってるだろ!?」 日向 「慣れてる、とか言ってさァ~、結局のところ恥ずかしいだけなんでしょ? 前に言ってたじゃん」 京介 「うぐっ……」 日向 「まったく、お兄ちゃんはヘタレだなぁ」 京介 「……よく言われるよ。主にお前の姉ちゃんに」 日向 「仕方ない。それじゃあたしが練習台になってあげようっ!」 京介 「……は? 練習台?」 日向 「とりあえず、あたしのこと名前で呼んでみてっ」 京介 「日向ちゃん?」 日向 「“ちゃん”はナシ! 名前でっ!」 京介 「日向」 日向 「…………」 京介 「…………」 日向 「な、なんでフツーに呼べちゃうの!?」 京介 「いや呼べるだろ。むしろ呼べない理由が分からん」 日向 「むぅ……。んじゃ、あたしをルリ姉だと思って『瑠璃』って呼んでみて?」 京介 「本人じゃなきゃ別にこんなの何て事は…………る、……瑠……っ」 日向 「じーっ」 京介 「……そ、そんなまじまじと見るなよ。変に照れるだろっ」 日向 「なんで照れるの?」 京介 「うぐ……、だ、大体お前は日向なんだから、瑠……とか呼ぶの、おかしいだろっ?」 日向 「ふーむ……。そうだ! にゅふ、イイコト考えたっ!」 がさごそ 日向 「……こーやって髪を下ろして……ちょっと整えれば……っと」 京介 「またロリ猫モードか」 日向 「ろりねこ?」 京介 「こ、こっちの話だ。……こほんっ、でもいくら見た目だけ黒猫に似せたって……」 日向 「ふふ~、あたしの変身がこれで終わると思っちゃダメだよ?」 京介 「ゴスロリでも着んの?」 日向 「き、着ないよっ、あんなフリフリヒラヒラの恥ずかしい服っ!」 京介 「それ、姉ちゃんが聞いたら確実に教育だな」 日向 「にゃっ!? い、今のは聞かなかったコトにっ」 京介 「へいへい。――それじゃ変身って?」 日向 「あー、あー↑、あー↓」 京介 「……歌でも歌うのか?」 日向 「低い声にロックオンしてんのっ! ……こほんっ、あー、あー↓……『……ふっ……こんな感じかしら?』」 京介 「!? ――く、 黒猫の声!?」 日向 「『フフッ、驚いたようね?』……あたし、ルリ姉の声真似が特技なんだよね~!」 京介 「す、凄えな……マジで本人にしか聞こえん。お前、将来声優とかなれるんじゃねえの?」 日向 「えへへ、そう? ……じゃなくてっ、今は練習が先っ!」 京介 「……まだやる気だったのかよ」 日向 「そのために変身したんだからねっ? これならあたしをルリ姉だと思えるハズ! それじゃいくよ~?」 京介 「見た目プラス声真似ねぇ……。それでどうにかなるとは思えんが……」 日向 「『ねぇ……京介?』」 京介 「――ッ!?!?」 日向 「『……どうしたの? ……ふふっ、顔が赤いわよ?』」 京介 (こ……これは予想外にヤバい……っ! まるで本物の黒猫が“魔女の呪い”で子供の姿になったような……!?) 日向 「『京介……私のお願い……聞いてくれる?』」 京介 「な、なんか変だぞ、お前? って、何でそんな猫みたいに四つん這いで擦り寄ってくんのっ?」 京介 (その服で前屈みになるとイケナイところが見えちゃうだろっ!? いくらぺったんこでもっ!) 日向 「『ふふっ、私のことをいつも“黒猫”って呼ぶのは……こういうのが好き、だからでしょう?』」 京介 「た、確かに嫌いじゃないが……って、そういうわけじゃなくだなっ!」 日向 「『でも、今は“黒猫”じゃなく……“瑠璃”って呼んで?』」 京介 「ぐ……う、潤んだ瞳で見つめるなっ! お、お前だって顔赤いぞっ?」 京介 (まるっきりあの『メイドパーティー』のときの黒猫の再現じゃねぇかこれ……っ。姉妹の血が成せる業か……っ?) 日向 「『……わ、私だって少しは恥ずかしいのよ……? ……でも……“瑠璃”って呼んでくれたら……』」 ぴとっ 京介 「よ、……呼んでくれたら?」 京介 (身体ごと圧し掛かってくるな!? いくら幼児体形でも女の子特有の危険な柔らかさが……っ) 日向 「『も……もっと恥ずかしいこと……してあげてもいいのよ……?』」 京介 「も、もっと……っ!?」 京介 (み、耳元に息が……っ! お、落ち着け俺っ、っていうか小学生でこれは反則だろ――!?) がらっ 黒猫 「先輩、お待た……せ…………っ?」 どさっ 京介 「く、黒猫っ!?」 黒猫 「な、ななな……何をやっているの、あなたたちは……っ?」 日向 「うわっ、やっば~……」 京介 (目をまん丸に見開いて硬直している黒猫……この状況だけを見れば無理もないが……) 京介 (っていうかまたこのパターンかよ!!)(*1) 京介 「ちち、違うぞ、黒猫。ご、誤解するなよ? こっ、これはただ夏休みの宿題を教えていただけであって……」 黒猫 「……へ、へえ……夏休みの宿題を教えるのに、どうしてそんなに密着する必要があるというのかしらね……?」 日向 「あー、ルリ姉の声真似マスターのこのあたしから見て、今のルリ姉の声はめっちゃ怒ってるときの声だねっ」 京介 「んなことは俺でも分かるわ!!」 日向 「怖いよー助けてー京介くーんっ!」 京介 「わざとらしく縋りつくな! むしろ俺が助けて貰いたいよ!」 黒猫 「あら、随分と仲が良くなったものね……羨ましいわ……フ、フフフ……」 京介 「く、黒猫……さん?」 黒猫 「末期のシスコンともなると、人様の妹でも劣情を催すというの……。いっそ去勢してあげようかしらね? この駄犬」 日向 「えっと、今の声は本気の声だよ?」 京介 「いちいちそんな恐ろしい解説はいらないから! んなことより、こういう声のときの姉ちゃんはどうすればいいのか教えてくれよ!」 日向 「うしっ、任せて! ――ルリ姉にしつもーん!」 京介 (…………やべえ…………自分で振っておいて何だが、嫌な予感しかしねえぞ……っ!?) 黒猫 「……何かしら」 日向 「体を密着させるより恥ずかしいことって、具体的には何をしてあげればいいのかな?」 京介 「ぐはっ、信じられねえ!! トドメを刺しやがった!?」 黒猫 「…………ふ、ふふ……。そう、そんなことを妹に要求したのね、この変態ロリコンは……」 京介 「し、してないって! これには訳が! 話せば長くなるワケがっ!!」 京介 (本気で呪い殺しそうな光彩の消えた目で俺を見ないで! マジで怖い!! 泣きそう!!) 黒猫 「この期に及んで言い訳? 見苦しいわね」 京介 「言い訳くらいさせてくれよ! さっきのは日向が――」 黒猫 「……日向が、何?」 京介 (…………い、言えねえ。日向相手に『お前の名前を呼ぶ練習をしていた』とか、恥ずかしくて言えるわけねえっ!) 京介 「そ、そう、日向ちゃんがちょっとふざけてじゃれてきただけなんだよ」 日向 「えー、ふざけてないよぅ。あたし真面目にお兄ちゃんのこと考えてさ~」 京介 「いいからお前は話をこれ以上ややこしくするな! 恥ずかしいことの意味も分かってなかったんだろっ?」 日向 「えっ……そ、そんなコト……あたしに言わせる気?」 京介 「さっき質問してただろ! いちいち思わせぶりな言い回しをするなっ! ってか、どこでそんな台詞を覚えてくるんだ!?」 日向 「ルリ姉の部屋の押入れにしまってある薄い本だけど」 京介 「…………」 黒猫 「…………」 日向 「…………」 京介 「…………よ、よし、こうしよう。今日のところは痛み分け、ということで……」 黒猫 「……ふ……ク、ククク……」 京介 「く、黒猫……?」 日向 「や、やっべー……。ルリ姉がキレた」 黒猫 「日向。あなた……私の部屋の“禁断の領域”には近づかないようにと言っておいたはずよね……?」 日向 「あ、あれ? そ……そういえばそうだったような……そうでもないような……てへっ☆」 黒猫 「……フ、フフ……どうやら、まだ私の教育が足りていなかったようね……。――先輩、今日の予定は変更よ」 日向 「にゃっ!? ま、まさか……っ!? たっ、たた、助けてっ、お兄ちゃんっ!」 京介 「……すまん。自業自得ということで、潔く死んでくれ」 日向 「は、はくじょーものーっ!!」 黒猫 「…………何を他人事のように言っているの? 先輩」 京介 「……はい?」 黒猫 「――あなたたち、そこに並んで正座なさい」 京介 (こうして、俺と日向ちゃんはこの日の深夜に及ぶまで、黒猫の“教育”を施されることになった) 京介 (当然、“魔王の呪い”によって俺と日向ちゃんの夕食は闇に消え去り) 京介 (“教育”が終わった時には、二人とも空腹と精神的ダメージによって一歩も動けなくなっていたのだった――) -END-(中猫の悪戯目録・練習編)
https://w.atwiki.jp/kuroneko_2ch/pages/1238.html
我が家の日常風景~遅れてきたお返し~ 日向「高坂くんホワイトデーなのにこないね…」 黒猫「別にお返しを期待してたわけではないから気にしてないわ」 日向「そう言ってさっきから部屋をウロウロしてるのは誰かな?w」 黒猫「…!?こ、これは、ダンスの練習をしてるのよ勘違いしないで頂戴?」 珠希「ふわぁ~もうおねむです…」 -数時間後 深夜12時過ぎ五更家が寝静まった頃… 黒猫「ん…こんな時間に電話…京介?」 黒猫「はいもしもし」 京介「黒猫か?こんな時間にゴメンな、お前の家の近くの例の外灯のところにいるんだけどちょっと来てくれないか?」 黒猫「はぁ…貴方は全く仕方のない雄ね。着替えてるから少し待っていて頂戴」 瑠璃「京介!全く貴方はこんな時間に私を呼び出してどうしたの?」 京介「いやあ…わりぃな瑠璃には何とか昨日のうちに渡したかったんだけど思ったよりが時間がかかっちまって」 京介「瑠璃、これ少し遅れたけどバレンタインのお返しだ。麻奈実に教わって自分で作ってみたんだけどどう、かな?」 瑠璃「先輩?彼女の前で他の女性の名前を出すのはどうかしら?」 京介「あ、ごめん…」 瑠璃「ふふ、冗談よ。むしろ私ばかりに構って幼なじみや妹を蔑ろにするようなことはやめて頂戴?」 瑠璃「まあそれはいいとして…遅れて来たお詫びを…わかるでしょ?」 京介「…じゃあこのクッキーでポッキーゲームをしよう」 瑠璃「し、しかたないわね!あーん…」「ん…」 カサカサ 京介瑠璃「!?」 日向「あ…」 瑠璃「日向!またあなたは!どうやら”教育”が必要なようね」 日向「にゃーああああぁあぁぁぁぁ…」